生成AIで手順書を作成・更新する方法|表記ゆれ確認と実機検証まで

ロボットが下書きを書き、人がペンで確認しようとしている机の様子 AI実務ガイド
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結論:AIは「たたき台づくり」と「表記ゆれ候補の洗い出し」に使い、実機確認と最終判断は人が行う

PCの初期設定手順書や、共通ソフトウェアの導入手順書は、生成AIでドラフト(下書き)を作り、更新することができます。成果を左右するのは次の3点です。

  • 入力する情報の安全対策
  • プロンプト(AIへの指示文)の組み立て方
  • 人による実機検証と表記の確認

出典は共通して、AIの出力は参考・たたき台として扱い、最終判断は人が行うよう勧めています 1, 3, 5。

担当者とAIの2レーンで、機密除去、プロンプト作成、AIのドラフト作成、出力修正、AIの表記ゆれ候補抽出、実機検証と公開の順に進む流れ図
図1 AIが担うのは下書きと候補出しだけで、安全対策・検証・最終判断は人が行う。

この記事で持ち帰れるものは次のとおりです。

  • 手順書ドラフトを作る・更新するための手順と、プロンプトのひな形
  • 表記ゆれ(同じ言葉が複数の書き方で混在すること)と誤記を確認する流れ
  • うまくいかない場面と、その対処
  • 小さく試して振り返るためのチェック表

前提:対象業務と、始める前に用意するもの

対象は、総務や情シス担当者が作る社内向けの手順書です。たとえば「新しいPCの初期設定」や「全社で使うソフトのインストール」などが当てはまります。

用意するものは次の4つです。

  • 生成AIのチャットツール:社内で利用が認められているもの
  • 対象業務の情報:作業の流れ(時系列)、使うツール、注意が必要な作業 5
  • 既存の手順書:あれば集めておきます 5
  • ソフトウェアの情報:ダウンロード方法、インストール手順、初期設定などの具体的な情報 2

手順1:機密情報が漏れないよう事前に設定・整理できるようにする

生成AIのサービスによっては、入力した内容が学習に使われる可能性があります。そのため、オプトアウト設定(入力データを学習に使わせない設定)や、履歴・学習をオフにできるかどうかを確認するよう、複数の出典が勧めています 5, 6, 9。

  1. 使う予定のAIツールの利用規約とプライバシーポリシーを読み、入力データが学習に使われるかどうかを確認します 6。
  2. 学習や履歴をオフにする設定、またはオプトアウト設定を適用します 5, 9。設定画面の場所は利用する製品によって異なります。出典では、ChatGPTの場合「設定」→「データコントロール」→「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする手順が紹介されています 5。
  3. 確認した内容を、社内Wikiやガイドラインに一覧で記録します。たとえば「このツールは入力が学習に使われる/使われない」と書いておきます 6。
  4. 手順書の素材から、AIに入力しない情報を取り除きます。社内のIPアドレス、シリアル番号、アカウント名、パスワードなどは、「(社内IPアドレス)」のような仮の表記に置き換えてから入力します。

入力前チェックの例

確認項目 OKの状態
学習・履歴の設定 オフ、またはオプトアウト済み
IPアドレス・シリアル番号 仮の表記に置き換え済み
アカウント・パスワード 削除済み

手順2:AIに渡すプロンプトを組み立てられるようにする

出典では、プロンプトに次の要素を入れることが勧められています 2, 8。

  • 役割(ペルソナ)
  • 目的と背景
  • 具体的な指示
  • 出力形式と制約
  1. 役割を書く:「社内ITサポート担当者として」のように、AIにどの立場で答えてほしいかを指定します 8。
  2. 目的と読者を書く:「IT初心者向け」「既存手順書の改訂」など、誰のために何を作るのかを示します 2, 5。
  3. 章立てを書く:「ダウンロード方法」「インストール手順」「初期設定」のように、流れに沿った項目を並べます 2。
  4. 出力形式を書く:「手順は箇条書き」「重要な注意事項は強調」「表形式」などを指定します 5, 8。
  5. 素材を貼る:手順1で機密情報を取り除いた資料を、プロンプトの後ろに貼り付けます。

プロンプト例(架空)

あなたは社内ITサポート担当者です。
PC操作に不慣れな新入社員向けに、共通ソフト「(ソフト名)」の導入手順書の
「インストール」セクションを作成してください。
含める項目:1. ダウンロード方法 2. インストール手順 3. 初期設定
条件:
- 初心者にも分かる表現にする
- 手順は番号付きの箇条書き、1手順1操作にする
- 重要な注意事項は強調する
- 用語は「ログイン」「クリック」に統一する
以下の資料だけを根拠にし、資料にない手順は「要確認」と書いてください。
▼資料:
(機密情報を除いた手順メモ)

最後の行で「資料にない手順は『要確認』と書く」と指示しているのは、AIが資料にない内容を補ってしまうのを見つけやすくするための工夫です。

手順3:出力を直し、改訂時は差分で更新できるようにする

  1. 出力を「内容の正確さ」「構成」「分かりやすさ」の3つの観点で読みます 5。
  2. 誤字や細かな言い回しは、自分で直接直します 5。
  3. 構成を変えたいときや大幅に直したいときは、追加の指示を出して作り直させます 5。
  4. 改訂時は、手順書全体を作り直させるのではなく、変更点だけをAIに渡して、該当箇所の草案を作らせます。

改訂時の指示例(架空)

以下は現行手順書の「初期設定」節と、今回の変更点です。
変更点を反映した改訂版の節だけを出力し、変更した行の末尾に【変更】と付けてください。
▼現行の節:…
▼変更点:設定画面の項目名が「A」から「B」に変わった

手順4:実機で確かめ、最終判断できるようにする

生成AIの出力には、事実と異なる内容や、根拠のない内容(ハルシネーション)が含まれることがあります 8, 9。出典では、情シス分野ではAIが出した技術的な内容は参考程度にとどめ、最終判断は担当者本人が行うルールを設けるよう示されています 3。

  1. 手順書を印刷するか別画面に表示し、検証用のPCで1手順ずつ実際に操作します。
  2. 画面の表示名や項目名が、手順書の記載と一致しているかを確認します。
  3. 手順2で「要確認」と書かせた箇所は、公式情報や実際の画面で必ず確かめます。
  4. 問題がなければ、承認者と確認日を記録して公開します。

表記ゆれ・誤記を見つけて直せるようにする

複数の人が長い期間をかけて更新すると、表記ゆれが起こりやすくなります 1。出典に挙がっている例は次のとおりです。

種類 例
操作用語 クリック/押下 1、ログイン/サインイン 1, 4
長音・中黒 サーバ/サーバー 1、ユーザ/ユーザー 10、データ・ベース/データベース 4
漢字とひらがな 及び/および 7、お客様/お客さま 4
同義語の混在 保守/メンテナンス 4

誤記の例としては、助詞の誤り、ミスタイプ、ら抜き言葉、括弧の対応の誤りなどが挙げられています 10。

なお、AIによる抽出は網羅性が保証されません。結果は「候補の一覧」として扱うよう、出典で説明されています 1。

  1. AIに候補を出させる:「以下の文章から表記ゆれの可能性がある語句を抽出し、候補ペアをリスト化してください」と指示します 4。
  2. ルールを添えて精度を上げる:「サインイン → ログイン」のような統一ルールを一緒に渡します。出典の検証では、判断基準が明確なときは指摘の精度が高かったと報告されています 4。ただし、これは1つの出典での検証結果です。
  3. 件数と位置を確認する:候補に挙がった語を、文書作成ソフトの検索機能で検索します。出典ではWordの場合の方法が紹介されており、件数と使われている位置を確認できます。そのうえで、どちらに統一するかを人が決めます 1。
  4. 漏れを補う:AIが候補に挙げなかった表記ゆれは、検索だけでは見つかりません。用語統一辞書との照合、ルールベースの校正ツール(登録したルールで網羅的に検出するツール)、人による通読を組み合わせます 1, 10。
  5. ルールを記録する:決めた表記は組織の用語統一辞書に記録し、次回以降のプロンプトでも使い回します 1。

用語統一辞書の例(架空)

統一する表記 使わない表記 決めた日
ログイン サインイン (日付)
クリック 押下 (日付)
サーバー サーバ (日付)

うまくいかない場面と対処

  • 存在しない手順や設定項目が出てくる:ハルシネーションの可能性があります 8, 9。資料にない内容は「要確認」と書かせ、実機で確かめます。
  • 表記ゆれの指摘に漏れがある:AIだけでは網羅できません 1。表記ゆれの確認手順の4(検索・校正ツール・通読の組み合わせ)を省略しないようにします。
  • AIが本文まで書き換えてしまう:出典は、本文の書き換えをAIに任せないという立場をとっています 1。「修正案を一覧で出すだけにし、本文は変更しない」と指示します。
  • 機密情報を入力してしまった:まず社内のAI利用窓口に報告します。そのうえで、入力禁止の例を手順1のチェック表に追加します。窓口や担当部署は、あらかじめ明記しておくことが勧められています 3。
存在しない手順、表記ゆれの漏れ、本文の書き換え、機密情報の入力という4つの失敗と、それぞれの対処を並べた図
図2 どの失敗も、手順書の作成工程に人の確認を組み込むことで防げる。
出典: 【2026年版】情シス向け!Chat GPTを120%活用するプロンプトまとめ8選 | OPTi / 情シス業務を生成AIで効率化!事例・メリット・導入手順を解説 | 情報システム部の業務の代行・委 / マニュアルの校正・表記統一に使えるAIプロンプト7選【コピペ可】 | マニュアル作成ならフィンテ / AI活用の社内マニュアルには何を記載すべき?必要な内容・作成手順・失敗例も解説 – AI経営総合

小さく試して振り返る(PDCA)

  1. Plan(計画):まず手順書を1本だけ選び、「作成時間」と「実機検証で見つかった誤りの数」を測ると決めます。
  2. Do(実行):手順1〜4と表記確認を、この記事のとおりに一度通して行います。
  3. Check(評価):AIの誤りが多かった箇所や、表記ゆれの漏れを記録します。
  4. Act(改善):見つかった問題をプロンプトのひな形と用語統一辞書に反映し、次の手順書に使います。

振り返りシートの例(架空)

項目 記録
対象の手順書 (名称)
実機で見つかった誤り (内容)
追加した辞書ルール (例:サインイン→ログイン)
次回プロンプトの修正点 (例:「要確認」の指示を追加)
手順書1本を選ぶ、手順を通して実施、誤りと漏れを記録、ひな形と辞書に反映、の4段階が循環する図
図3 見つかった問題をプロンプトのひな形と用語統一辞書に戻すことで、次回の精度が上がる。
出典: ChatGPTで表記ゆれを自動チェック!~AIによる校正支援の実力とは~ | TACT Crea / マニュアルの校正・表記統一に使えるAIプロンプト7選【コピペ可】 | マニュアル作成ならフィンテ / 日本語特化のAI文章校正ツール|プロ向け – wordrabbit

出典・参考

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