Global AI Radar【専門特化版】- 主要AI各社の【専用モデル】を横断検索

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専門特化AIモデル図鑑 ── 主要AI各社の「専用モデル」を横断検索

Global AI Radarの続編。汎用フラッグシップではなく、音声認識・コーディング・画像生成・Deep Research・動画生成という5ジャンルの専門特化モデルだけを集めました。ジャンルやベンダー、第三者検証の有無で絞り込めます。
2026年10月25日時点の情報(10月18日版から更新:Kimi K3.1 Pro・DeepSeek V4.1 Flash-1017・MiniMax M3.1 Flashの独立評価、HeyGen Videoの動画アリーナ上位入り、FLUX 3 Image Kleinの画像アリーナ掲載、TTSの順位更新を反映)。料金・提供状況は変動するため、最終判断は必ず各社公式ページでご確認ください。

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ChatGPT、Claude、Gemini、Grok。生成AIの話をするとき、私たちはつい「どの会社のAIが一番賢いか」というフラッグシップモデル同士の比較に目を向けがちです。

しかし実務でAIを使い倒していくと、必ずぶつかる場面があります。「音声を文字にしたいだけなのに、なぜ高価な汎用モデルを使う必要があるのか」「画像を作りたいだけなのに、なぜコーディングも得意な万能モデルを呼び出すのか」。

答えは単純で、多くの場合その必要はありません。OpenAIにもGoogleにもAnthropicにもxAIにも、そして中国勢の主要ラボにも、特定のタスクだけに最適化された「専門特化モデル」が存在します。Whisperが音声認識特化であるように、GPT ImageやNano Bananaが画像特化であるように。

この記事では、タスク軸で専門特化モデルだけを横断的に整理しました。単なる一覧ではなく、「なぜ汎用モデルではなくこれを使うのか」という判断軸と、「どの数値が独立検証済みで、どれがベンダー自己申告か」という信頼性の切り分けまで踏み込んでいます。

見えてきた2つの構造

各ジャンルを横断して調べていくと、単発の比較記事では見えてこない、ベンダーごとの構造的な非対称性が浮かび上がってきました。

OpenAIは現在、動画生成の主力モデルを持っていません。2025年に登場したSora 2は、2026年3月24日に終了が発表され、4月26日にWeb/アプリ提供を終了し、APIも予定どおり2026年9月24日に停止しました。廃止一覧の「推奨移行先」欄はすべて空欄で、後継モデルは発表されていません。終了の理由について、OpenAIは計算資源への需要が高まる中で注力分野を絞るためという趣旨で説明しており、Sora研究チームはロボティクスなどに向けたワールドシミュレーション研究に注力するとしています。一方、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、運用コストが1日あたり約100万ドルに達し、利用者も最盛期の約100万人から50万人未満に減っていたと報じました。ただしこの金額はOpenAIが確認したものではなく、報道ベースの数字です。「主要AIの中に専門特化モデルがある」という本稿の前提そのものが、動画生成というジャンルに限ってOpenAIには成立しない、という事実です。

Anthropicには、音声認識・画像生成・動画生成の専用モデルが存在しません。Claudeはマルチモーダルで画像や音声を「読む」ことはできますが、Whisperやgpt-4o-transcribeに相当する音声特化モデル、Nano BananaやGPT Imageに相当する画像特化モデルは提供していません。Anthropicの製品ラインは一貫して「コーディング・エージェント・エンタープライズ」に集中しており、これは手薄というより明確な選択と読めます。

このような「誰が何を持っていないか」は、100社を並べる一覧表からは読み取りにくい情報です。

1. 音声認識・音声処理

このジャンルは「文字起こし(ASR)」と「会話型音声(Speech-to-Speech)」の2つに分けて見る必要があります。文字起こしは、正直なところ第三者ベンチマークが一番育っていない領域です。各社ともWER(単語誤り率)を自社発表するのみで、コーディング分野のSWE-bench Verifiedのような業界標準的な公開リーダーボードは確立していません。

一方、会話型音声(Speech-to-Speech)には、Artificial AnalysisのSpeech to Speech Indexという活発に更新される独立指標が存在します。9月中旬にGoogleのGemini 3.8 Live Extended Thinking(82.6)がOpenAIのGPT-Live-1(81.5)を逆転し、10月上旬にはGPT-Live-1(Astra、medium)が83.2で首位に戻りましたが、10月14日に公開されたxAIのGrok Voice 3.0が86.9で首位に立ちました(同社の旧Grok Voice Think Fast 2.0は81.3)。続くのはGPT-Live-1(83.2)、Gemini 3.8 Live Extended Thinking(82.6)です。1か月で首位が2回入れ替わるほど競争が激しい領域です。なお10月15日にOpenAIがChatGPT向けに出したGPT-Live-1.1は、APIでは未提供で、この指標にも掲載されていません。音声合成(TTS)側でもArtificial AnalysisのSpeech Arenaで、ElevenLabsのEleven v4 Turbo(Elo 1336)とEleven v4(1332)が1・2位を占め、AlibabaのQwen-Audio-3.1-TTS-Plus(1307)が3位、CartesiaのSonic 3.6(1292)が4位、GoogleのGemini 3.8 Flash TTS(1280)が5位です。会話型音声では10月18日以降も、Grok Voice 3.0(86.9)、GPT-Live-1(83.2)、Gemini 3.8 Live Extended Thinking(82.6)の順位は変わっていません。文字起こしと会話型音声で「検証環境の成熟度」がこれほど違うというのも、一覧化して初めて見える発見でした。

実例:LocalVoiceでの実測

これは他の解説記事では読めない一次情報です。私は個人開発プロジェクト「LocalVoice」(ローカル音声入力アプリ)で、実際にWhisperの複数サイズを実機比較しました。

  • tiny・base・small・mediumの4サイズを同一負荷条件で比較
  • tiny/baseは「大阪」が「大さか」になるなど明確な誤認識が発生し不採用
  • mediumで精度は安定したが、M1 8GBという実機のメモリ制約下では、システム全体の負荷状況によって処理速度が10倍以上変動することも実測で確認

この経験から言えるのは、「特化モデルの中でどのサイズ/ティアを選ぶか」は、公式スペック表だけでは決められないということです。同じモデルでも、動かす環境のメモリ余力次第で体感速度がまったく変わります。

この開発の詳しい記録は、「AIでAquaVoice風の音声入力アプリを個人開発 ── LocalVoice開発記録」にまとめています。

2. コード生成・エージェント型

このジャンルは5つの中で最も第三者ベンチマークが充実しています。ただし各社が自社に有利な指標だけを公表する傾向が強いため、どの数値が独立検証済みかを明記することが特に重要です。

SWE-bench Verifiedの数値の多くはベンダー自己申告です。llm-stats.comの集計では「104件中0件が独立検証済み」という指摘もあるほどで、Vals AIのような第三者が独自に同一条件で再実行した数値と、ベンダー発表値は明確に区別して読む必要があります。上の検索ツールでは、可能な限り独立検証元を明記しています。なおVals AIはSWE-bench Verifiedが飽和したとして9月1日に更新を終了しました(最終首位はClaude Opus 5の97.0%、2位がオープンウェイトのDeepSeek V4 Pro 0813で96.4%、3位がKimi K3で93.4%)。現在の差別化は、より難しいTerminal-Bench 4.0で見るのが実態に合います。Vals AIの同ベンチでは10月24日時点でClaude Opus 5.5が65.2%、Sonnet 5.5が64.1%、10月23日に登場したMoonshotのKimi K3.1 Proが63.6%(オープンウェイトを予定するモデルとして首位)、GPT-6 Astraが59.6%、Claude Fable 5.1とMetaの閉じたモデルMuse Wonder Fullが58.1%、Gemini 4 Argonが57.6%、GPT-6.1 Solが55.1%です(Opus 5.5はプロバイダー側のフォールバックを失敗扱いにすると58.1%になるとVals AIは注記しています)。なおTerminal-Bench 4.0にはベンダー自己申告の数値も出回っており(例:Sonnet 5.5が70.6%、Haiku 5.5が39.2%、Kimi K3.1 Proが65.7%でClaude Codeハーネス使用)、Vals AIの独立検証値(Haiku 5.5は36.4%、Kimi K3.1 Proは63.6%)とは差があります。

3. 画像生成

9月8日に世代交代したGPT-Image-2.5は、公開直後の9月9日時点では独立リーダーボードに載っていませんでしたが、その後Artificial AnalysisのImage Arenaに登場し、高精細版のSunburst(Elo 1222)と高速版のFlare(Elo 1207)が1・2位を占めています(10月25日時点。評価基準はAA-Image-T2I v2.1で、10月18日版と同じです)。「独立検証がない間はリスク情報として扱う」という見方は変わりませんが、検証が出そろった今は、文字描画とレイアウト精度を重視するなら第一候補です。10月6日に一般提供が始まったGoogleのNano Banana 2.1は4位(Elo 1176)に入り、前世代のNano Banana 2(7位、Elo 1140)を上回りました。MicrosoftのMAI-Image-2.6とxAIのGrok Imagine Image 2.0が5・6位(いずれもElo 1166)で続き、Black Forest LabsのFLUX 3 Imageは13位(Elo 1117)です。10月15日に公開された5.6Bのオープンウェイト画像モデルFLUX 3 Image Kleinは、独立アリーナに掲載され21位(Elo 1043)でした。

4. 検索/リサーチ特化(Deep Research系)

Deep Research系は、どのベンダーを選んでも共通の限界があります。出力に含まれる主張が引用元で実際に裏付けられている割合(引用忠実度)は、業界全体として最良でも約80%程度が上限という指摘があります(Aaron Tay, 2025年)。これは特定ベンダーの弱点ではなく、このカテゴリ全体の性質です。したがって使い方としては「1本に絞る」より「ChatGPTで調査設計→Perplexity/Grokで広域探索→Claudeで深層統合」のように役割分担する運用が、複数の実務者の記録から共通して見えてきます。

5. 動画生成

冒頭で触れたとおり、このジャンルは唯一「主要ラボの1社が不在」という状態で、Sora 2のAPIも9月24日に完全停止しました。Artificial AnalysisのText to Video Arenaの評価基準はAA-Video-T2V v2.1で、10月18日版と同じです(10月10日時点のv2.0とはElo値を直接比較できません)。10月25日時点の音声付き部門では、AlibabaのWan 3.0(Elo 1175)が1位、Utopai X(1167)、HeyGenの新モデルHeyGen Video 1(1160)、MiniMax H3(1158)、ByteDanceのSeedance 2.5(1158)が続き、GoogleのGemini Omni Flash 1.1(1130)は10位です。音声なし部門では、10月18日までのWan 3.0に代わってHeyGen Video 1が首位(Elo 1144)に立ちました。動画編集部門ではWan 3.0(1198)が1位、Seedance 2.5(1155)とGemini Omni Flash 1.1(1148)が2〜3位で変わりません。Sora終了後の受け皿としては、この中国勢が首位集団を占める中で、Google、そして最安クラスのxAIが有力です。

まとめ

汎用フラッグシップモデル同士の比較は、各社が毎月のように新モデルを出すため、記事を書いた瞬間から陳腐化が始まります。一方で、専門特化モデルの「立ち位置」は比較的安定しています。音声認識はGoogle/OpenAIの寡占状態が続き、コーディングはAnthropic/OpenAI/xAI/中国勢が並走し(Vals AIのTerminal-Bench 4.0ではClaude勢が上位)、動画生成はOpenAIが不在という構造は、モデルのバージョンが変わっても当面続くと考えられます。

「どのAIが一番賢いか」ではなく「このタスクには、どの会社の、どの専用モデルを充てるべきか」。この記事が、そうした判断の出発点になれば幸いです。

出典・確認状況(2026年10月25日確認)

「原典」は発表元・計測元のページ、「報道・二次情報」は第三者の記事です。原典を開けなかったもの、検索結果の記載しか確認できていないものは、その旨を付記しています。前回版から引き継いだ記述のうち、今回の更新で変更していない項目は再検証していません。

独立ベンチマーク(原典)

発表元(原典)

報道・二次情報

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