暗号資産市場は、米インフレ指標を受けた利上げ観測の変化と、取引所・プロトコルで相次いだセキュリティ事故という、性格の異なる2つの流れの中で9月を終えました。本記事では、CoinDesk、The Block、CertiKなど海外の一次情報を中心に、投資家・事業者が押さえておくべき5つのニュースを整理します。
1. PCEが予想を下回りBTCは8万3,000〜8万5,000ドル台|10月利上げ観測の後退と市場への影響
米国の8月PCE(個人消費支出物価指数)は、コアが前月比0.2%・前年同月比3.0%、総合が前月比0.3%・前年同月比3.4%となり、いずれも市場予想を下回りました。CoinDeskによると、これを受けて10月の追加利上げ確率は48時間前の約70%から47.1%へ低下し、ビットコインは一時8万5,000ドル台まで上昇しています(記事更新時点の数値)。
一方で、10年債利回りは約5.2%、30年債利回りは5.6%超と高水準にあり、金利環境の厳しさは続いています。Yahoo Financeは、9月の騰落率をBTCで約+6.9%、ETHで約+8.9%と伝えており、CoinDeskは第3四半期について、ビットコインは2024年以来、イーサリアムは2021年以来の好調な四半期になる見通しと報じています。
情報源: CoinDesk(ライブ速報) / The Block / Yahoo Finance
💡 活用の一言: 利上げ確率は指標ごとに大きく動くため、10月以降の金融政策イベントの日程と、長期金利の水準をあわせて確認しておきましょう。
2. Bitgetから約3.5〜3.9億ドル流出|第三者セキュリティ製品の脆弱性が起点か
取引所Bitgetは、9月24日(UTC)にウォレットのバックエンドが侵害され、資産が不正に引き出されたと発表しました。被害額は初報で約3億5,160万ドルでしたが、その後複数チェーンへの送金分が加わり、約3億9,000万ドル前後に上方修正されたと報じられています(CertiKの集計では約3億8,750万ドル)。The Hacker Newsによれば、Bitgetは北朝鮮系とみられる攻撃者の関与を示唆しています。
CertiKの報告では、攻撃は第三者のセキュリティ製品の脆弱性を突いて内部認証情報を取得し、不正な出金指示を注入する形で行われたとされています。Bitgetはユーザー保護基金から補填し、9月28日から段階的に出金を再開、9月30日には保護基金を約3億900万ドルまで復元したと説明しています。また、Mandiant、SlowMistによる外部調査と回収報奨金プログラムも開始しました。
情報源: The Hacker News / Crypto Times(CertiK報告の要約)
💡 活用の一言: 取引所の内部対策だけでなく、自社が依存する第三者セキュリティ製品・外部ベンダーのリスク管理も点検対象に入れましょう。
3. 【CertiK報告】9月のハッキング被害は7.66億ドルで2026年最悪|Liquid Networkの事例も
CertiKによると、2026年9月の暗号資産関連の被害総額は約7億6,640万ドルで、同年の月間では最悪となりました。このうち約2億7,060万ドルが返還または凍結され、純損失は約4億9,580万ドルとされています。主因はBitgetの事案と、ビットコインのサイドチェーンLiquid Networkの悪用です。
TRM Labsによれば、Liquid Networkでは9月6日に検証ソフトウェア(Elements)のrange proof検証キャッシュの欠陥を突かれ、約4,000 L-BTCが不正に発行されました。攻撃者は翌7日に約3,400 BTC(約85%)を返還した一方、約598.5 BTCは保持したままで、記事時点でL-BTC取引は再開されていません。
情報源: Crypto Times(CertiK報告) / TRM Labs
💡 活用の一言: ブリッジやサイドチェーン上の資産は、元のチェーンとは別の技術的リスクを負います。保有資産の保管先と検証方式を確認しておきましょう。
4. Robinhoodが米国向けに暗号資産perps提供へ|Lighter(LIT)は24時間で17%下落
CoinDeskによると、Robinhoodは自社のデリバティブ部門を通じて、米国の顧客に暗号資産の無期限先物(perps)を提供する計画を発表しました。この発表を受け、perps系プロトコルのトークンに売りが出ており、Lighter(LIT)は24時間で17%下落し、時価総額は約21億ドルになったと報じられています。
同じ記事では、BTCが8万3,000ドル付近でもみ合う中、9月21日の8万7,300ドルでのブレイクアウト失敗以降は調整局面にあるとも指摘されています。大手の証券系プラットフォームが米国でperpsを扱うことは、オンチェーンの競合サービスにとって競争環境の変化を意味します。
情報源: CoinDesk
💡 活用の一言: 大手参入は特定トークンの需給に短期で影響します。提供開始時期や対象顧客の範囲など、正式な詳細の発表を確認してから判断しましょう。
5. 【続報】CLARITY法案は上院クローチャー否決後も協議継続|成立予測は低水準
米国の暗号資産市場構造法案(CLARITY法案)は、9月15日の上院でのクローチャー(討論終結)投票が49対50で否決され、可決に必要な60票に届きませんでした。DeFiRateによると、その後Tillis上院議員が再検討動議を提出し、民主党の上院議員7名が9月17日に超党派での協議継続の意向を示しています。ただし、次回採決の時期や修正案は公表されていません。
主な争点は、ステーブルコインの利回り、政府高官の暗号資産利用に関する倫理規定、DeFiの規制範囲です。DeFiRateが引用する予測市場Kalshiのデータでは、2026年10月1日より前の成立確率は1%、2027年1月1日より前は15%とされており、年内成立は厳しい情勢です。
情報源: DeFiRate(CLARITY Actファクトシート)
💡 活用の一言: 米国の法整備を前提にした事業計画は、成立の遅れを織り込んだシナリオも用意しておくと安心です。
まとめ
今回の5項目は、マクロ面では利上げ観測の後退で市場に安心感が出た一方、ハッキング被害の拡大や規制の停滞といった構造的な課題が残っていることを示しています。価格が戻っても、保管・セキュリティ・規制の不確実性というリスクは別に存在するため、両面を分けて確認する姿勢が重要です。
本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は2026年10月1日時点の情報をもとに作成しています。最新情報は各引用元サイトをご確認ください。


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