暗号資産市場は、ビットコインが8万ドル台前半で方向感を探るなか、ハードウェアウォレット事件やETFの資金流出など、投資家と事業者が確認しておきたい動きが相次ぎました。本記事では、10月9日号・10日号で取り上げていない新しい出来事と、続報として数値が更新された項目に絞って、英語圏の一次情報を中心に5つ整理します。
1. Ledger正規代理店経由の端末で資金流出か|被害は約8,600万〜9,000万ドルとの推計
Ledgerは10月9日、東南アジアの正規販売代理店CryptoBilisから端末を購入した利用者の資金流出報告を調査中だと発表しました。同社は代理店に対し、Ledger端末の販売と出荷の一時停止を要請しています。オンチェーン調査会社Specterは被害を8,600万ドル超と推計し、MistTrackは約9,000万ドルとしていますが、いずれもLedgerによる確認は取れておらず、すべてが同一の事案かも不明です。
原因は確定していません。Ledgerは過去90日以内にCryptoBilisで購入した人に対し、未設定の端末は初期設定しないこと、すでに使用している場合は新しい端末と新しいリカバリーフレーズへ資産を移すことを案内しています。なお、Tetherは関連するUSDTの凍結に動いたと報じられていますが、BTCやETHそのものは凍結できないため、回収可能額は見通せません。
情報源: Decrypt / CryptoSlate / CRYPTO TIMES
💡 活用の一言: 正規の販売チャネルであっても、流通過程での改ざんリスクはゼロとは言えません。ハードウェアウォレットを購入した時期と購入元を確認し、該当しうる場合は公式の案内に従って対応を検討しましょう。
2. 米国の現物ビットコインETFは週間6.8億ドル流出、イーサリアムETFは9営業日連続流出【続報】
Farside Investorsのデータをもとにした報道によると、米国の現物ビットコインETFは10月第2週(月〜金)に合計6億7,890万ドルの純流出となり、前週の2億4,110万ドルの流入から一転しました。10月7日の約4億8,490万ドルの流出は6月25日以来の大きさでした。発行体別では、FidelityのFBTCが3億8,030万ドル、ARK 21SharesのARKBが2億720万ドルの流出で、BlackRockのIBITは週間ではほぼ横ばい(110万ドルの流入)でした。
注目は、10月9日号で触れたビットコインETFに続き、イーサリアムETFが9営業日連続の純流出(9月29日から約7億ドル)となった点です。週間では5億4,220万ドルが流出し、うちBlackRockのETHAが約88%を占めました。ソラナやZcash、Hyperliquid関連の商品でも流出が出ています。10月の暗号資産現物ETF(BTC・ETH)の累計流出は10億ドルを超えたと報じられています。同記事は、売りはリスク回避姿勢の弱まりと同時期に起きたもので、単一の原因は特定されていないと整理しています。
情報源: CryptoTicker / IG UK
💡 活用の一言: 日次の数字は振れが大きいため、週次・月次の累計と発行体別の内訳をあわせて確認し、ETF資金の方向感を判断材料の一つにとどめておくとよいでしょう。
3. 「10.10」暴落から1年|BTC・ETHの板は厚くなる一方、アルトコインは薄いまま
CoinDesk Researchは、2025年10月10日に190億ドル超のレバレッジ建てポジションが清算された暴落から1年を機に、板の厚み(オーダーブックの流動性)を検証しました。ビットコインは価格から1%以内の注文合計が10月7日時点で約1,170万ドルとなり、暴落前から約75%増えています。価格が暴落前より下がっているにもかかわらず厚みが増えているため、マーケットメーカーの資金投入が増えたことを示す動きだと説明されています。イーサリアムも0.5%以内の厚みが暴落以降に2倍超へ拡大しました。
一方、アルトコインは5%の範囲の厚みが2025年初頭から約3分の1減の約200万ドルにとどまり、BTCとETHへの集中が当面続くとの見方が示されています。また、10月7〜8日の売り局面ではビットコインの1%帯の厚みが約12%減っており、急変時には流動性が薄くなる点には注意が必要です。
情報源: CoinDesk Japan
💡 活用の一言: 大口の売買や、アルトコインの取引では、約定価格のずれ(スリッページ)が想定より大きくなる可能性があります。銘柄ごとの板の厚みを事前に確認しましょう。
4. ビットコインは8万ドル攻防|10年債利回り5.32%、来週は米CPI(10月14日)とFOMC(10月27〜28日)
IGの分析によると、ビットコインは10月8日に80,324ドルまで下げた後に反発し、82,000ドル台を回復しました。9月21日の直近高値は87,402ドルで、そこから約5%下にいます。サポートは82,035〜82,814ドルの帯と8万ドル、下値の目安は9月安値の74,919ドルとされています。背景には、10年債利回りが2002年以来の水準に迫る5.32%付近、ブレント原油が約105ドルといったマクロ要因があります。
続報として、9月の米雇用統計は雇用者増が約2万9,000人(市場予想は約9万人)、失業率は4.2%でした。BeInCryptoによれば、トレーダーの10月利上げ織り込みは約55%から約20%に低下しています。FRBは9月に25ベーシスポイントの利上げで政策金利を3.75〜4.00%としており、議事要旨では「大半」が年内にもう1回の利上げを妥当と見ています。今後の注目日程は、9月分の米CPI(10月14日)と次回FOMC(10月27〜28日)です。
情報源: IG UK / BeInCrypto
💡 活用の一言: 重要な指標の発表前後は値動きが大きくなりやすいため、レバレッジを使う場合は証拠金維持率と清算価格を事前に点検しておきましょう。
5. CLARITY法案は停滞のまま、規制当局が既存権限で前進|SECがカストディ規則案、10月1日に提案【続報】
CLARITY法案は9月15日の上院採決で49対50となり、可決に必要な60票に届きませんでした。CoinDeskによると、中間選挙が近づくなか年内成立の可能性は低下しています。10月9日号の時点では「SECとCFTCが既存の権限で規則整備を進める」という方針までが報じられていましたが、その後の具体的な動きとして、SECは9月17日にトークン化株式のオンチェーン取引を限定的に認める暫定的な「イノベーション免除」を承認し、10月1日には投資会社による顧客の暗号資産の取り扱いと保管に関する規則案を提案しました。
事業面では、2026年上半期の暗号資産関連の案件総額が記録的な97億ドルとなり、Kraken親会社のPayward(Krakenの運営会社)によるReap(6億ドル)とBitnomial(最大5億5,000万ドル)の買収合意も報じられています。専門家は、法案の不成立は不確実性を残す一方、M&Aの流れ自体は大きく変わらないとの見方を示しています。
情報源: CoinDesk
💡 活用の一言: 法律の成立を待たずに、SECやCFTCの規則案や免除措置が先行して動いています。自社や取り扱いサービスに関わる提案がないか、公開コメントの期限とあわせて確認しましょう。
まとめ
今回の5項目に共通するのは、「資金の出入りと流動性の質」が相場を左右しているという点です。ETFは主要2銘柄ともに流出が続き、板の厚みはBTCとETHに集中し、マクロ面では利回りと金融政策が重荷となっています。さらにLedgerの事案は、資産の保管手段そのものの信頼性も問い直しています。来週は米CPIの結果を確認しつつ、保管・流動性・規制の三つの観点から自分の前提を点検しておく週になりそうです。
本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は2026年10月11日時点の情報をもとに作成しています。最新情報は各引用元サイトをご確認ください。


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