原油高を引き金にビットコインが8万4,000ドルを割り込み、市場全体のレバレッジ清算が膨らんだ一方で、取引所・銀行・格付け機関といった「制度側」の動きも着実に進んでいます。本記事ではCoinDesk、The Blockなど海外の一次報道をもとに、投資家・企業担当者が押さえておきたい8本を整理します。
- 1. ビットコインが8万4,000ドル割れ、清算額は5億ドル超へ|原油高と金利が背景
- 2. Bitmineが「保有率5%到達でETH買い付けを停止」と表明|イーサ最大級の買い手が退場へ
- 3. Coinbase Pro復活とCoinbase Global Exchange発足|Deribit統合が完了
- 4. Grayscaleの「Zcash ETF」が上場30営業日で10億ドル超|アルトコインETFは選別の段階へ
- 5. MoodysがSky Protocolに「B3」格付け|ステーブルコインのプロトコルとして初
- 6. Rainが米OCCに信託銀行免許を申請|暗号資産企業で12社目、地銀団体は提訴
- 7. 欧州刑事警察機構(Europol)が量子コンピューターのリスクを指摘|狙われるのはブロックチェーンより「露出した公開鍵」
- 8. Robinhoodが約2,500万ドルのビットコインを自社バランスシートに追加
- まとめ
1. ビットコインが8万4,000ドル割れ、清算額は5億ドル超へ|原油高と金利が背景
CoinDeskによると、ビットコインは10月7日(UTC)の早い時間に8万4,000ドルを下回り、記事公表時点では約8万3,200ドルで推移しました。ホルムズ海峡でのタンカー攻撃を受けてブレント原油が1バレル=101ドル超へ上昇し、米国債利回りとドルも上昇したことが重荷になったとされています。CoinGlassのデータでは、24時間の清算額は約5億4,700万ドルと約235%増加し、うちイーサ関連が1億7,400万ドルでした。一方、米国のスポットビットコインETFは火曜日に1億1,900万ドルの純流入で、5営業日中4日目の流入日となっています。
💡 活用の一言: 先物の建玉は「新規の強気」ではなく再調整の色が濃いと報じられており、レバレッジ取引をしている場合は原油・金利ニュースへの感応度を前提に証拠金に余裕があるか確認しておきたいところです。
2. Bitmineが「保有率5%到達でETH買い付けを停止」と表明|イーサ最大級の買い手が退場へ
Bitmineのトム・リー会長は、シンガポールのTOKEN2049で、ETH保有量が流通量の5%に達した時点で買い付けを止める方針を示しました。CoinDeskによれば、同社の直近保有は6,016,414 ETHで流通量(約1億2,210万ETH)の約4.9%、あと約10万ETHで目標に届く計算です。直近の買い付けペースだと到達まで6〜7週間程度とされ、手元資金は6億4,300万ドルあります。報道を受けてETHは24時間で約5%下落し、9月20日以来の安値圏となりました。なお同記事は、2025年の高値圏で買い進めた分を含め、約45億ドルの含み損があるとのDropsTabのデータも紹介しています。
情報源: CoinDesk
💡 活用の一言: 企業トレジャリーという「継続的な買い需要」が前提だったETH相場では、その終了時期が見えたこと自体が需給材料になるため、保有方針の前提を見直すきっかけになります。
3. Coinbase Pro復活とCoinbase Global Exchange発足|Deribit統合が完了
The Blockによると、Coinbaseは約29億ドルで買収したオプション取引所Deribitの統合を完了し、統合後の事業を「Coinbase Global Exchange」と呼ぶと発表しました。高頻度トレーダー向けの「Coinbase Pro」は年末までに再始動し、現物・先物・無期限先物・オプション・株式を扱う計画です。現物のレバレッジ取引(スポットマージン)は主要銘柄で最大10倍、その他の対応銘柄で最大5倍とされています。Deribitのビットコインオプション建玉は9月30日時点で300億ドル超、昨年の取引高は1兆ドル超とCoinbaseは説明しています。提供時期は非米国の対象者向けオプションが「数週間以内」、米国リテール向けは年内の見通しです。
情報源: The Block
💡 活用の一言: 米国で大手取引所がデリバティブを一体提供する流れは、機関投資家向けのヘッジ手段の選択肢を広げる一方、高レバレッジの利用層も広がる点には注意が必要です。
4. Grayscaleの「Zcash ETF」が上場30営業日で10億ドル超|アルトコインETFは選別の段階へ
The Blockによると、GrayscaleのZcash ETF(ZCSH)は上場後30営業日で10億ドル超の資金を集めたと、同社のクリスタ・リンチ氏が説明しました。同氏は、直近10年間に上場したETFの初月資金流入で上位1%に入る水準だとしています。また同社は、ビットコインとイーサ以外へ広がる局面を見据え、発行体が対象資産をより厳選する局面に入ったとの見方を示しました。SECの汎用上場基準は約15銘柄を対象とするとされ、Grayscaleは自社の2つのカバードコール型ファンドをSECのイノベーション免除の枠組みでトークン化する申請も行っています。同氏はCLARITY法案の不成立後に残った枠組みを「慰めの賞」と表現し、結果が確定したことで見通しは明確になったとも述べています。
情報源: The Block
💡 活用の一言(続報): 前日までに報じられたZcash現物ETFの申請に続き、実際の資金流入規模が示された形で、アルトコインETFの需要が一部銘柄に集中する可能性を意識しておきたいところです。
5. MoodysがSky Protocolに「B3」格付け|ステーブルコインのプロトコルとして初
The Blockによると、Moody's Ratingsはステーブルコイン「USDS」を運営するSky Protocolに対し、見通し「安定的」でB3の発行体格付けを付与しました。ステーブルコインのプロトコルへのMoody's格付けとしては初とされています。Sky側は、S&Pの格付け(2025年8月付与のB-)と合わせ、Moody's・S&Pの双方から正式に格付けを受けた唯一のステーブルコインプロトコルだと説明しています。S&Pは当時、預金者の集中や中央集権的なガバナンス、資本バッファーの薄さを理由に挙げていました。Galaxyが自社の財務に1億ドル分のsUSDSを追加し、機関向け取引部門で担保として承認した点も報じられています。
情報源: The Block
💡 活用の一言: B3は投機的水準の格付けであり、「格付けが付いた」ことと「安全」であることは別問題なので、DeFi系ステーブルコインを財務で扱う場合は格付け理由まで確認したいところです。
6. Rainが米OCCに信託銀行免許を申請|暗号資産企業で12社目、地銀団体は提訴
CoinDeskによると、ステーブルコイン決済のRainが、ニューヨークを拠点とする「Rain National Trust」の設立に向けて米通貨監督庁(OCC)へ申請しました。預金の受け入れや融資、FDIC保険の対象となる消費者口座は扱わず、デジタル資産とドルの受託、許可された発行体の準備金管理、機関向けドル連動型ステーブルコインの発行・償還を担う構想です。第三者銀行への依存を減らすことが狙いとされています。背景として、昨年12月にCircle、Ripple、BitGo、Fidelityなど5社が初期承認を得ており、7月にはCircleが最終承認を取得しました。一方、全米独立コミュニティバンカー協会(ICBA)は、OCCに暗号資産企業へ信託免許を与える権限がないとして先週提訴しています。申請はOCCの審査とパブリックコメントを経る必要があります。
情報源: CoinDesk
💡 活用の一言: 信託免許の流れは訴訟リスクを抱えつつ進行中なので、米国のカストディや準備金管理を委託する先を選ぶ際は、免許の取得状況と訴訟の行方の双方を確認しておくと安心です。
7. 欧州刑事警察機構(Europol)が量子コンピューターのリスクを指摘|狙われるのはブロックチェーンより「露出した公開鍵」
CoinDeskによると、Europolの欧州サイバー犯罪センターは「量子コンピューティングと暗号資産」と題する報告書を公表しました。報告書は、暗号資産が量子コンピューターで崩壊するわけではなく、「システム崩壊より事前の適応が最も可能性の高い帰結」と位置づけています。ハッシュ関数に依拠するマイニングは比較的耐性が高い一方、ウォレットを守る公開鍵暗号は影響を受けやすく、公開鍵が露出しているアドレスに約690万BTCがあると指摘しました。そうした鍵は事後的に安全にできないため、耐量子暗号への段階的な移行を今から始めるよう勧告しています。なお2024年の研究では、全UTXOを耐量子形式へ移すだけで累計76日以上分のブロック容量が必要になる試算が引用されています。
情報源: CoinDesk、The Block(Justin Drake氏の「バンカーモード」提言)
💡 活用の一言: 実用的な量子コンピューターはまだ存在しないとされるため過度に恐れる必要はありませんが、アドレスの使い回しを避けるなど、自社のウォレット運用が公開鍵を露出していないか棚卸ししておく価値があります。
8. Robinhoodが約2,500万ドルのビットコインを自社バランスシートに追加
CoinDeskによると、Robinhoodの暗号資産・国際部門責任者のヨハン・ケルブラ氏が、DAS Asiaでの番組出演中に約2,500万ドル分のビットコインを自社の貸借対照表に加えたと語ったと報じられています。同氏は、金額は時価総額約1,000億ドルの同社の方向性を大きく変えるものではないと述べました。同記事によれば、企業のビットコイン保有は170社超に広がり、Tesla、Block、MARAなどを含む合計で120万BTC超とされます。同社は7月にArbitrum基盤のレイヤー2「Robinhood Chain」を立ち上げており、暗号資産事業を拡大中です。なお、Robinhood側の正式な確認や追加購入計画については、記事時点で回答は報じられていません。
💡 活用の一言: 金額は小さくとも大手金融プラットフォームがBTCを自己勘定で持つ動きは、企業の財務方針を考える際の一つの参照事例になります。
まとめ
本日は、原油高と金利上昇が短期の価格と清算額を揺らす一方、Coinbaseの商品拡充、Moody'sの格付け、RainのOCC申請、Robinhoodの自社保有といった「市場インフラの機関化」が同時に進んだ日でした。他方でBitmineの買い付け停止方針やEuropolの量子リスク指摘は、需給と技術の両面で前提を点検するよう促す材料です。
本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を意図するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
本記事は2026年10月8日時点の情報をもとに作成しています。最新情報は各引用元サイトをご確認ください。

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